本文へスキップ

Oita Pediatric Association

 

大分県では日本脳炎ワクチンの生後6か月からの接種をお勧めします

日本脳炎ワクチンの標準的な接種年齢は3歳からとされていますが、生後6か月から定期接種として接種することができます。
大分県をはじめ九州地区ではウイルスを媒介する豚の日本脳炎ウイルス抗体保有率が極めて高く、また3歳未満でも蚊に刺されるリスクは決して少なくないことから、3歳まで待たずに生後6か月を過ぎたら積極的に日本脳炎ワクチンを接種することをお勧めします。

《解説》
日本脳炎は豚で増殖した日本脳炎ウイルスが蚊を媒介してヒトに感染して発病します。ヒトからヒトへの感染はありません。発病率そのものは高くはありませんが、発病した場合には脳炎症状(発熱・痙攣・意識障害など)がみられ、致死率は20%、後遺症も50%にのぼります。しかし、この病気は予防接種で防ぐことができます。
わが国では過去に小児を中心とした患者が多数みられた時期があり、昭和25年には患者数5,196名、死亡者数2,430名と報告されています。その後、予防接種の導入により近年では高齢者を中心とした年間10例前後の患者数まで減少しました。
小児患者の報告は2006~2015年の10年間に生後11か月から10歳までの8例が報告されていますが、その中で3歳未満が3例、九州・沖縄からの報告が4例を占めています。
日本脳炎ワクチンの標準的接種年齢は3歳からとなっていますが、生後6か月から定期接種として接種することは可能です。標準年齢が3歳からとなった理由は、以前の患者年齢が0~2歳より3歳以降が多かったためとされています。
2016年に日本小児科学会は豚の日本脳炎抗体保有率が高い地域(主に西日本)に居住する小児に対しては生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することを推奨しました。
(https://www.jpeds.or.jp/modules/news/index.php?content_id=197)(別ウインドウで開きます)
大分県でも豚の日本脳炎抗体保有率のモニタリングを毎年7~9月に行っていますが、9月には抗体保有率は100%となります。ほとんどの豚がこの季節に日本脳炎ウイルスを保有していて、蚊にさされると感染するリスクが高くなります。
日本脳炎ワクチンを生後6か月~3歳未満で接種開始する場合の接種量は0.25mlで3歳以降の0.5mlの半量となりますが、効果は全く変わらないことが既に報告されています。
以上のことから、大分県の子どもたちには3歳まで待たずに、生後6か月から日本脳炎ワクチン接種することをお勧めしています。


contents